マインドセット

先日、なかなかためになる本を読みました。

『マインドセット「やればできる!」の研究』

という本で、帯には「スタンフォード大学心理学の
権威による世界的ベストセラー」とあります。

人間の信念が人生や成長にどう影響を与えるか、
ということをテーマに研究を続けてきた著者。

「心のあり方(マインドセット)」

が自分のパーソナリティを形づくり、
もし何か可能性を発揮できずにいるとしたら、

その原因の多くは「マインドセット」にある、
としています。

具体的には、

●自分の能力は固定的で変わらないと信じている人
→「硬直マインドセット」

●人間の基本的資質は努力次第で伸ばせると信じている人
→「しなやかマインドセット」

として、それらを対比しながら「マインドセット」を
「しなやか」にするための考え方を述べています。

※巻頭に「本書は『「やればできる!」の研究 能力を開花させるマインドセットの力』(2008年)の増補改訂版です」とあります

■「教育」のところに共感

詳しくは本書をお読みいただけたらと思うのですが、
私がとても共感したところは、第7章の

「教育―マインドセットを培う」

の部分でした。

大人や親、教師がどのように子どもと接すればいいのか?
どんなメッセージを伝えていけばいいのか?

「しなやかマインドセット」の子どもを育てて
いくためにはどうすればいいのか?

そうしたことを、さまざまな事例を挙げながら
説明しています。

■子どもへの「メッセージ」の仕方

本書によると、成功したときにどんな言葉を
かけるかによって、子どもの成長も変わる。

「頭の良さをほめると、学習意欲が損なわれ、
ひいては成績も低下した」

とありますが、ほめ方によっては裏目に
出ることもあるということです。

頭の良さをほめられると、失敗や挫折にあったときに、
「頭が悪いせいだ」という発想になってしまう。

そうではなく、いい方法で粘り強く勉強や練習を
重ねて成し遂げたことをほめる。

たとえばピアノであれば、

「今日はずいぶん集中してピアノが弾けたね。
それと、音に心がこもっていて嬉しかったよ」

といった感じでしょうか。

ピアノの先生にとって「ほめる」ことは大切ですが、
もっと大切なのは「ほめ方」にあると思います。

「ほめるときは、子ども自身の特性をではなく、
努力して成しとげたことをほめるべきだ」

と本書にもあるように、大切なのは能力よりも
「努力しているその姿」をほめること

「こつこつ努力を続けているあなたを、
私は誇りに思っているよ」

そういうメッセージの伝え方を意識すれば、
子どもたちのその先も変わってきそうですよね。

■優れた教師とは?

同じ章の「優れた教師・親とは」という項目で、

「優れた教師は、知力や才能は伸ばせると信じており、
学ぶプロセスを大切にする」

「優れた教師は、できる生徒に対してだけでなく、
すべての生徒に対して高い基準を設ける」

とありました。

ジュリアード音楽院のヴァイオリン教師、
ドロシー・ディレイの例はとても感銘を受けました。

才能は努力によって獲得できる資質だと信じ、
ひとり一人に全力を投入すること。

「難しい課題を与えて、惜しみなく愛情を注ぐ」

という部分では、可能性の限界に挑戦しようという
気にさせるための、教師側の意気込みを感じます。

できないのはその子に才能がないから、
と指導をおざなりにするのはいわば簡単です。

けれども、優秀な指導者というのは、あえてその子に
とって難しい課題を与えて、そこへの道筋を示す

どうすればその高い努力目標に到達できるかを
きちんと教えてあげることが本当の教育である

この辺りは、ピアノ教育にも通じる話ではと思いました。

■どんな子も伸びる!と信じること

この章を読んで学んだことを挙げてみて、
今回の記事の締めくくりとさせていただきます。

●頭の良さや才能をほめるのではなく、
努力できたその「プロセス」をほめる

●生徒の到達基準は下げずに高くして、生徒が
成長できる課題を出し、適切なフィードバックをする

●どの子も才能や知能は必ず伸びると信じる

●できない子と決めつけず、何が分かっていないかを
見極め、積極的な学習計画を立ててあげる

●レッスン室は生徒が学ぶところであり、
それ以上に、教師が学ぶ場でもあると知る

●最後はやっぱり愛情。

【本日の参考図書はこちら↓】
★『マインドセット「やればできる!」の研究』

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