音楽の見方

ピアノの演奏にアナリーゼは大切。

「木を見て森を見ず」という言葉もありますが、
全体を見失わないことも大切ですね。

★「1冊3分で分かる!ピアノ教本マガジン」vol.345(2015年3月4日配信)より

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『 ピアノを弾くための 音楽の見方 』 佐々木邦雄・佐々木恵子・著

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今日ご紹介するのは、

「ピアノを弾くための 音楽の見方」

という書籍です。

副題は「アナリーゼから演奏表現まで」。

楽譜から何を読み取りどう演奏につなげるか、
という点を、様々な観点で述べています。

メインとなる読者層は、巻末の「おわりに」に、

「本書が、ピアノ指導に携わるすべての人たちにとって
よきアドヴァイスの一冊となれば光栄です」

とあるように、本書はピアノ指導者に向けたもの、
と言えそうです。

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◆今日のチェックポイント◆
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巻頭の「はじめに」から引用すると、

「音楽の基礎能力を、大きく次の4つに分けて考えてみましょう。
①読む②聴く③奏でる④書く(中略)①~④を束ねているのが
「楽典」、そして全体を統括しているのが「理論」、さらにこ
れらすべての能力を幅広く培っていくのがソルフェージュ指導
(音楽の基礎的総合力の体得)といえるでしょう。『これらの
能力を、ピアノを弾くすべての方に、より広くより深く体得し
ていただきたい……』私たちは、そんな願いを込めて本書を書
きました(後略)」

とあります。

「読む」「聴く」「奏でる」の3つをテーマに、
アナリーゼを演奏につなげる考え方を伝えています。

本書の内容について、目次をご紹介してみましょう。

はじめに
1 音楽をよく読むために
第1話 楽譜と向き合う
第2話 楽譜をよく視る

2 音をよく聴くために
第3話 音同士の関係を理解する
第4話 メロディを大切にする
第5話 ハーモニーを味わう
第6話 リズムを感じる

3 ピアノを上手に奏でるために
第7話 曲の仕組みを把握する
第8話 ストーリーを演出する
第9話 ピアノという楽器を知る
第10話 ピアノの表現力を身につける

4 指導のポイント
おわりに

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◆(2)ピアノ演奏につなげるアナリーゼの概要がつかめる一冊

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「説得力のある演奏にはアナリーゼが必要」

と私が切に感じたのは、大学院の頃や留学時代でした。

その当時、いわゆる難曲やあらゆる要素が
複雑に絡み合う作品に取り組んでいました。

そうした高度な作品に取り組む際に、陥りがちなのが、

「弾きこなすためのテクニックの習得だけに没頭すること」

当然、弾けなければ演奏が成り立たないので、
技術の向上のための時間は必要です。

反面、見失いがちなのが「作品の全体図」。

点描画は、点などの短いタッチで描かれた絵ですが、
一つひとつの「点だけ」を見ていては何も見えてこない。

それぞれの点が、各役割を担いながら有機的に
集まることによって全体が成り立つ。

過去の自分を反省するのは、技術習得という「点」だけに
フォーカスして、全体が見えていなかったということです。

もちろん、素晴らしい「点」を描くことは大切。けれども、

○なぜその「点」がそこに必要なのか?
○そもそもその「点」はどういう意味があるのか?
○一つとして同じでない「点」をどう描くか?
○「点」と「点」をどう有機的に結びつけるか?
○その「点」にどんな色合いを醸し出すべきなのか?
○どうすれば全体としての構成を見失わないか?

こうしたことを突き詰めることは、説得力あるピアノの演奏や、
自分の演奏に責任を持つことにもつながる。

「マクロとミクロを同時進行で見ることが
できるのが本物の演奏だ」

本書でこのように述べられていることは、
おそらくこういうことなのではと感じます。

この本を読んでみて、なるほどと思った部分を
私なりに要約してお伝えしてみます。

○音はお互いに他の音と関係を保ちながら動いている
○基本は「長い音は重く」「短い音は軽く」という原則
○メロディは大きく飛んだら反転する
○協和な響きを「ハモる」不協和な響きを「アタる」という
○ピアノの強弱には「重さ」の概念がかかわってくる
○和音の性格を決める鍵は「音階の4番目」の音が握っている
○調の設定は「鉄道の路線」のようなもの
○心地よいのは「ひとつの流れ」を中心に聴いていられる演奏
○ピアノを弾く人は「音高感」をしっかり持つ必要がある
○演奏の基本はまずは「アンサンブル」
○ペダルは「10段階」くらいに踏み分けられる技術が望ましい
○楽器の演奏とソルフェージュは「車の両輪」のようなもの

最後の「指導のポイント」の章に、

「自分が何もしないで生徒に何か与えておいても、
生徒が勝手に育つことはありません」

とあります。

ピアノ指導者は常に学び、最善の指導法を
自ら積極的に掴み取らなければならない。

私も一人の指導者として、この点だけは
忘れてはならないと自戒しました。

願わくば、もっと突っ込んだところまで掘り下げて学びたい
と感じましたが、書籍の体裁の関係もあるのでしょう。

いずれにしても、アナリーゼの概要や
それを演奏につなげる大切さは掴める一冊。

ご興味のある先生は、手に取ってみてはいかがでしょうか。

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『 ピアノを弾くための 音楽の見方 』 佐々木邦雄・佐々木恵子・著

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