ネットで何かを注文すると、あっという間に届く。

何かを知りたいときは検索すれば答えが見つかる。

本当に便利な世の中になったものですよね。

ただこうなると、とにかく何でも利便性や
即効性を求めてしまうこともあります。

ネットの記事でも書籍のタイトルでも、

「○○がすぐできる!」「速攻○○なワザ!」

といった文字がよく目につきます。

結果や成果がすぐに手に入れられたら、
それは確かに嬉しいかもしれません。

でも、誰でも知っているはずです。

「本当に大切なことには時間がかかる」

人間関係がまさにそうですよね。

最初はお互いの紹介から始まり、
何度も顔を合わせてお話をして、

少しずつ相手のことを理解しながら、
心を近づけていく。

親友だと思う人を思い浮かべてみてください。そこに、

「育まれた時間」
「熟成された時間」

があるからこそ、なんでも話せる信頼関係や
打ち解けられる安心感があるわけです。

■レッスンは「育む」こと

ピアノのレッスンも同じですよね。

本当に大切なことを教えたければ、
時間をかけてじっくり伝えていく。

そもそも、一回言って理解できる子は
そうそういるものではありません。

弊社の「ピアノ講師ラボ」の対談で、
秋末直志先生がおっしゃっていました。

ピアニストのミケランジェリが、
次のように言っていたそうです。

「先生という職業は、99回同じことを言って、
100回目に分かってもらう職業だ」

これは深いなと思いました。

子どもも大人も、1回や2回言っただけで、
分かることはまずありませんよね。

でも、先週言ったことができてなくて、
不機嫌になってしまう。ときに怒ってしまう。

なんでできないのかとため息をついてしまう。

でも自分のことを考えてみてハッと気づきます。

今の自分があるのは、辛抱強く
教えてくれた先生がいたからこそ。

先生が長い目で見守ってくださったからこそ、
ピアノを指導している自分がいるわけです。

何かを教えるということは、
植物を育てることに似ていると思います。

芽が出て成長するまで、時間も手間もかかります。
実を大きくするには、そこに愛情も必要。

生徒がすぐに上達しないからといって、
ピアノ指導の手を抜いてしまうのは、

やっと芽が出たのに干からびさせてしまうようなもの。

ピアノの先生に求められるのは、

どれだけ辛抱強く伝えられるか。

どれだけ時間をかけられるのか。

どれだけ待てるのか。

そして、同じことを99回言える「心の強さ」があるか。

100回目にしてやっと生徒が

「あ、そういうことだったの!」

と笑顔でこちらを向いてくれたときに、

「そう、そういうことなんだよ」

と1回目のときと同じ笑顔を返せるかどうか。

「育む(はぐくむ)」ことは、
価値あることだと心に刻みつつ、

100回目にくれる笑顔を目指して、
今日もレッスンに向き合いたいものですよね。

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