ずっと前に読んだ本で、
タイトルは忘れてしまったのですが、

すごくいいなぁと、とても
心に残った言葉がありました。

「感謝を置いてくる」

自分が伝えた「ありがとう」の言葉、
感謝の気持ちや相手への感情、

それらは無くなることなく、
ずっとその空間に残り続ける。

それが感謝を「置く」ということ。

生きている間に、どれだけたくさん、
その「点」を置いていくか。

それが、より良い人生を送るヒントだ。

うろ覚えなのですが、たしか、
そんな内容だったと思います。

■今刻んでいるもので人生はできている

たしかに、言葉って、
残るというか、刻まれるというか、

その場所、言われた相手、表情、そして気持ち…

そういうものが心に刻まれる、
そんなことは、よくありますよね。

恩師に言われた言葉が、心から離れない、
生徒からもらった言葉が胸に刻まれている…

その時の状況や、もらった気持ち、
感情も含めて、ずっと残っている、

そんなことがあるかもしれません。

そう考えると、私たちが発する言葉、
態度、表情、気持ち、感情…

そういうものは「すべて」その場その場に
刻まれていっているとも言えます。

子どもに怒りをぶつけてしまったこと、
駅でおじいさんにかけた優しい言葉、

ニュースに感じた悲しい感情、
生徒の笑顔に癒された幸せな気持ち…

毎分、毎秒、すべてが、
この空間に刻まれ、積み重なっていく。

つまり、自分が

「これまで刻んできたもの」
「いま刻んでいるもの」

で人生が出来上がっている、
そんなふうに考えられます。

■書籍の中の話ではありますが…

私の書籍「夢をかなえたピアノ講師」では、
落ちこぼれの男(三上雅人)が主人公です。

感謝を知らない、プライドだけが高い、
自己肯定感の低いピアノ講師です。

生徒がゼロになって、ようやく、
自分がすべての原因だと気づく。

素晴らしいピアノ指導者との出会いで、
ようやく理解するわけです。

自分には「感謝」が足りなかったのだ、と。

そして、ピアノ教室を立て直すときに、
彼はこう誓います。

「ありがとう、がたくさんある教室にしよう」と。

先ほどの話でいえば、

それまでの彼が人生で置いてきたのは、
不満や不足だったりしたわけですが、

それをできるだけ少なくして、
かわりに「感謝」を置くことにした。

ピアノ教室に「ありがとう」の点が
たくさん集まる場所にしようと。

その後、彼の人生は大きく変わっていきます。

■私たちがピアノを教える本当の理由

最近、好きなことを仕事にしよう、
みたいな話題をよく目にしますよね。

もちろん、それはすごく幸せなことです。

私たちピアノの先生も、まさにそうです。
大好きなことを仕事にしているわけですから。

でも、そのもっと深いところに、
大切なものがあると思うんです。

ありきたりな言い方ですが、

「音楽やピアノへのありがとうの気持ち」です。

私も経験があります。

幼いころからピアノを続けてきて、
ピアノから教わった「努力」する大切さ、

音楽だけは自分を裏切らないこと、

ピアノが一生の友だちになり得ること、
人生に慰めと彩りを与えてくれること、

それを教えてくれた恩師の先生、
ピアノを続けさせてくれた両親…

そうした一つひとつへの
「感謝」があるから、

私たちは、何十年もピアノを教えているわけです。

好きとか嫌いとかは、すでに超えています。

「ありがとう」や「恩返し」の心が、
私たちを突き動かしているのです。

今度は、私たちの番だと。

「感謝していること」を仕事にしているから、
私たちは、強く前に進めるんです。

ピアノ指導者として、これからどれだけの

「ありがとう」の気持ちを刻んでいけるか。

このことを大切に胸の奥にしまって、
毎日のレッスンに向き合っていきたい。

いつも、そんなふうに考えています。

・・・ ・・・ ・・・

お忙しいなか、最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました。

今日も素敵なレッスンを。
いつも本当にありがとうございます。

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