いつもこのブログをお読みいただき、
ありがとうございます。

株式会社リーラムジカ代表取締役の藤 拓弘です。

今日ご紹介するのは、

「「響き」に革命を起こす ロシアピアニズム」

という書籍です。

ピアノの先生であれば「奏法」や「響き」に関して、
大きな関心を持っていらっしゃるでしょう。

また、一流のピアニストの演奏の裏にあるものを
知りたいという方も多いかもしれません。

今回は、ロシアピアニズムに関する書籍のご紹介です。

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◆今日のチェックポイント◆
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巻頭の「はじめに」から引用すると、

「この本では、主にロシアピアニズムの奏法を含め、
現時点で私が考える音楽全般について書き綴ってみた
(中略)ロシアピアニズムがどのような考え方のもと、
どのような音色を求め、どのような奏法をしているかは
わかるはずだ。この本のなかから、何かしらの演奏の
ヒントを見つけていただけるかもしれない」

とあります。

著者は、約30年にわたってロシアピアニズムを
研究されてきた大野眞嗣(おおの しんじ)先生。

ロシアピアニズムとの出会いから基本的な解説、
表現力のある演奏のための考え方、音の聴き方、

具体的な奏法や身体の使い方、そして
代表的なピアニストまで幅広く紹介。

著者のブログ「ロシアピアニズムをつぶやく」
大幅に加筆、修正を加えたのが本書とのことです。

本書の内容を「Contents」からご紹介してみましょう。

はじめに

■第1章 響きの正体
1・現代のコンクールとピアニスト事情
2・現在、主流となっている奏法
3・倍音が豊かな音楽となる
4・響きを作るロシアピアニズム
5・私とロシアピアニズムとの出会い
6・ロシアピアニズムは、演奏を自由にする

■第2章 ロシアピアニズムとは何か
1・ロシアの曲を弾くからロシアピアニズム?
2・ロシアピアニズムとロシア奏法
3・耳の使い方
4・ロシアピアニズムの発声
5・音色の特徴
6・演奏時の感覚
7・どのような音楽に適するか?
8・演奏がどう変わるのか?
9・現代のロシアピアニズムの特徴

■第3章 ロシアピアニズムの奏法と技術
1・重心と椅子の高さ
2・身体の使い方
3・タッチの基本
4・タッチの実践
5・重力奏法とは?
6・下部雑音はないほうが良い
7・音の離し方
8・発想の転換をする
9・p(ピアノ)とf(フォルテ)
10・クレッシェンドとデクレッシェンド
11・記号の本当の意味
12・リズムとテンポ
13・ルバート
14・和声
15・ペダルについて
16・ショパンを弾く
17・バッハを弾く
18・ベートーヴェンを弾く
19・モーツァルトを弾く
20・チャイコフスキーを弾く
21・作曲家の個性を理解すること

■第4章 理想の音楽教育を目指して
1・「表現する教育」の必要性
2・日本の現状
3・世界の現状
4・理想の教師とは
5・留学について

■第5章 ロシアピアニズムの代表的ピアニスト
1・ゲンリッヒ・ネイガウス
2・タチアナ・ニコラーエワ
3・ディーナ・ヨッフェ
4・エリソ・ヴィルサラーゼ
5・グレゴリー・ソコロフ
6・ウラディミール・ホロヴィッツ
7・マルタ・アルゲリッチ
8・イーヴォ・ポゴレリチ
9・ミハイル・プレトニョフ
10・イリヤ・ラシュコフスキー
11・マキシム・モギレフスキー

■第6章 芸術をつくるということ
1・何を追い求めるか?
2・自由になるために
3・芸術とはコミュニケーションである
4・日本人にしかできない演奏を
5・ピアニストの心構え
6・成長のために
7・人に受け継ぐこと

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◆(2)ピアノ指導者も読んでおきたい音色やタッチ、奏法の秘密

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私も音大時代に友人の影響を受けて、ホロヴィッツなど
ロシアのピアニストのCDをよく聴いていました。

ただ、個々のピアニストの凄さだけが先行して、
その背景に、

「ロシアピアニズム」

という世界が広がっていることについては、
うっすらとした知識しかありませんでした。

さて、そこで今回の書籍ですが、

ロシアピアニズムの基本的な部分はもちろん、
耳の使い方や具体的な奏法と技術について、

また、これからの音楽教育についての提言や
芸術についてまで、幅広く紹介しています。

通常、こうした書籍ではイラストや譜例など、
ビジュアルを用いるのが普通かと思いますが、

本書では皆無。

正直、私のイメージ力には限界があり、
ビジュアルで見たい衝動に駆られたのは事実。

ただ、具体的な身体の動きの解説や、
例えを豊富に用いた表現など、

見えない「音」を伝えるギリギリのラインを見据え、
あえて文字だけで挑む大野先生の意気込みを感じました。

本書を読んで、私がなるほどと思った箇所を挙げてみると、

「倍音を響かせる演奏をするためには、演奏者が、
自らの音に対して『音色がない』と感じることが第一歩」

「耳が開かれると、ピアノという楽器のおもしろさ、
素晴らしさをより感じ取ることができる」

「『響きの奏法』に変わったときに、
8分音符がただの8分音符ではなくなるのだ」

「粒が揃っているというのは、
音の長さも音色も同じになってしまうこと」

「異名同音を弾き分けられないということは、
タッチと耳の使い方に問題がある」

「実はもっと大切な感覚がある。
顔の肌で空気の振動を感じ取れるかどうかだ」

「ロシアピアニズムの奏法においては、
指を下げることしかしないといっても過言ではない」

「手のひら全体で鍵盤を覆うように意識し、音符が
手のひらの中にあるような感覚で弾かなければならない』

「真の才能を磨くには、まず教師の側が
自己に厳しく、真の芸術家であらねばならない」

本書はロシアピアニズムについての書籍ですが、
響きや音色、音楽教育、そして芸術についてまで、

幅広い内容に深く切り込んでいるため、
ピアノ指導者も読んでおきたい一冊と言えるでしょう。

ご興味がおありでしたら、
お手に取ってみてはいかがでしょうか。

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『「響き」に革命を起こす ロシアピアニズム 』 大野 眞嗣・著

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◆(3)編集後記

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今年の4月で8年目を迎える弊社の「ピアノ講師ラボ」

来月2月号は、音楽ライターの山本美芽先生との対談。
テーマは「書くこと」についてです。

いまや、SNSやメール、ブログなど、
文字を書かない日はない時代となっています。

ただ自分が書いた文字や言葉は、相手の「心」に届いて、
はじめてその「価値」が生まれます。

自分が思うように、いわば「きちんと」伝えるためには、
それなりの考え方や技術が必要になります。

今回の対談は、伝えるために何が必要なのか、
書くスキルを上げるためにできること、

教室や自分自身の価値を上げる書き方など、
幅広いお話をお伺いすることができました。

また来月のニュースレターでは、

「ピアノの先生もチェックしておきたい絵本・児童書」

を特集記事としてご紹介する予定です。
会員様はぜひ楽しみにしていてくださいね。

★ブログで詳細をご紹介しています←

(2月号スタートの新規ご入会は、明日1/31が締め切りです)

それでは今日も最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました。

今日も素敵なレッスンを。

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